この記事では、KB2836889 で紹介している Exchange Server 2013/Office 365 Exchange Online に接続する Outlook 2007 から予定表を共有した場合に Outlook 2007 の制限のためエラーが発生して正しく共有できない問題について説明します。
現象
Exchange Server 2013 または Office 365 Exchange Online に接続する Outlook 2007 から予定表を共有するとエラーが発生し、追加されたユーザーから予定表を開くことはできますがアイテムを開こうとするとエラーが発生して開くことができません。
具体的には以下のような現象が発生します。この問題は KB2836889 でも紹介している現象です。
アクセス権設定時
アクセス権を追加すると、追加方法によって以下のエラー メッセージが表示される。
予定表の共有の招待メッセージを作成して送信した時
(左側の Outlook バーで [個人用の予定表の共有] をクリック または 予定表を右クリックして ["予定表" の共有] をクリックして作成)
共有メッセージの送信準備中にエラーが発生しました。
予定表のプロパティの [アクセス権] タブからアクセス権を追加して [OK] をクリックした時
スケジュールのアクセス権の設定中にエラーが発生しました。
エラー メッセージに [OK] をクリックしてから予定表のプロパティの [アクセス権] タブを開くと
先ほど追加したユーザーに権限が追加されているが、
[OK] をクリックすると上記のエラーが発生する。
追加されたユーザーが予定表を参照する時
予定表を開いて予定を参照することやスケジュール アシスタントなどから空き時間情報を表示することはできるが、
アイテムをダブルクリックすると以下のエラー メッセージが表示されて開くことができない。
このアイテムを開くことができません。空き時間情報を開くことができません。オブジェクトを処理するためのアクセス権がありません。フォルダの連絡先か、システム管理者に連絡してください。
[予定表] フォルダーをクリックすると、以下のバルーンが表示される。
オブジェクトを処理するためのアクセス権がありません。フォルダの連絡先か、システム管理者に連絡してください。
アイテムを作成する権限を持っている場合でも、アイテムを作成しようとすると以下のバルーンが表示されて作成できない。
空き時間情報を開くことができません。オブジェクトを処理するためのアクセス権がありません。フォルダの連絡先か、システム管理者に連絡してください。
原因
予定表に対して [参照者] 以上の権限で利用する場合は、[予定表] に該当のアクセス権を与えるだけではなく、
隠しフォルダーである [Freebusy Data] に編集者 (Editor) 以上の権限を与える必要があります。
そのため、たとえば Outlook で [参照者] の権限を与えると、通常は以下のアクセス権の設定が行われます。
予定表 : 参照者
Freebusy Data : 編集者
しかし、Outlook 2007 は Exchange Server 2013 と Exchange Online の仕様変更に対応していないため
[Freebusy Data] フォルダーに対してのアクセス権の設定が失敗するために発生します。
([予定表] フォルダーに対しては指定したアクセス権が正しく設定され、予定表を参照することはできます)
大変申し訳ございませんが、この動作は制限事項です。
対処方法
この問題は Outlook 2007 でアクセス権を設定した場合に発生するため、
以下のいずれかの方法でアクセス権の設定を行います。
方法 1. Outlook Web App (OWA) を使用してアクセス権を設定する
OWA を使用している場合は、参照されるユーザーが OWA にログオンして予定表を開き右上の [共有] から共有を行います。
方法 2. Outlook 2010 以降でアクセス権を設定する
Outlook 2010 以降をお持ちの場合は、Outlook 2010 で参照されるユーザーの
Outlook プロファイルを一時的に作成してログオンしてからアクセス権を与えます。
方法 3. Exchange 管理者がコマンドレットを使用してアクセス権を設定する
Exchange 管理者が Exchange Server 2013 または Office 365 Exchange Online に Exchange 管理シェルで接続し
以下のコマンドレットを使用して予定表と Freebusy Data に対してアクセス権を与えます。
Add-MailboxFolderPermission -Identity <参照される側のユーザー>:\予定表 -AccessRights 権限 -User <参照する側のユーザー>
例:
Add-MailboxFolderPermission -Identity User1:\予定表 -AccessRights 権限 -User User2
参考:
・上記のコマンドを実行すると、[予定表] と [Freebusy Data] の両方に対してアクセス権が適切に設定されます。
・現在設定されているアクセス権は、以下のコマンドレットで確認することができます。
Get-MailboxFolderPermission -Identity <参照される側のユーザー>:\予定表
Get-MailboxFolderPermission -Identity "<参照される側のユーザー>:\NON_IPM_SUBTREE\Freebusy Data"