Posted by Diego M. Oppenheimer
9 月 13 日
このブログ記事の執筆者は、Excel Services チームのプログラム マネージャー、Steve Kraynak です。
Office 2013 では、Excel、Web Excel、SharePoint について次の 5 つの新機能が追加されています。いずれもスプレッドシートと Access データベースを使いやすくするために設計されています。ここでは、それぞれについて、詳しく説明します。
· 監査/統制管理サーバー
· 検出/リスク評価
· スプレッドシート検査
· スプレッドシート比較
· データベース比較
背景の 1 つ - EUC
"EUC" (エンドユーザーコンピューティング アプリケーション) という用語は、"IT が関与せずにエンドユーザーが作成した重要なスプレッドシートおよびデータベース" を指すようになりました。これから皆さまに紹介するアプリケーションは、EUC によって発生する可能性がある重大なリスクに対応するために組織を支援することを目的としています。
多くの点で、EUC は便利です。Excel のような強力なツールを使うことで、エンドユーザーは可能性、機敏さ、効率性を大幅に高めることができます。しかし、強力な分、ひどい間違いを犯す危険性も高くなります。多くの場合、このような EUC は、1 人のユーザーまたは少人数のグループによって設計、開発、テストされ、そして使用される非常に重要なアプリケーションです。一般的に EUC は、計画的な開発プロセス (設計、開発、テスト) を経ずに急いで作成されます。人間はときには誤りを犯すものだと私たちは知っていますが、EUC でも同じだと考える必要があります。おそらくほとんどの EUC にはエラーがあると思われますし、何か問題が発生するまでそれが表面化しないということは多々あります。
EUC によって生成されるデータは、管理職などのエンドユーザーによって信頼され、重要なビジネス上の決定や報告を左右します。もし EUC に未検出のエラーや、予想外の誤り、さらには不正があった場合、適切な制御をしない限り、EUC の使用は重大な経済的損失や運用上の損失につながりかねません。Bing で検索してみると、スプレッドシートの誤りの例がたくさん見つかります。
マイクロソフトは 2011 年に、スプレッドシート制御ソフトウェアの主要プロバイダーの 1 つである Prodiance Corporation を買収しました。その後、Excel Services チームは Microsoft Office 2013 の新しい機能に Prodiance の技術を統合し、適応させる取り組みをしています。Prodiance の買収により、Office 2013 リリースでは、重要な EUC について適切な対策と制御をできるように組織を支援する包括的なソリューションを提供します。Prodiance の買収について詳しくは、ここをご覧ください。
Office 2013 の新機能
上で述べたような 5 つのアプリケーションにより、EUC を制御するために必要とされるツールを提供しています。Microsoft Office 検出/リスク評価 2013 を使用することで、EUC の煩雑さとリスクを発見し、評価できるようになります。Microsoft Office スプレッドシート検査 2013 は、エンドユーザー、監査人、スプレッドシート開発者、分析者がスプレッドシートの強力な分析ツールとして使用できるアプリケーションです。Microsoft Office スプレッドシート比較 2013 では、2 つのスプレッドシートの違いを簡単に見つけることができます。同様に、Microsoft Office データベース比較 2013 では Access データベースの違いを見分けることができます。そして、EUC 制御アプリケーションスイートの総仕上げとして、Microsoft Office 監査/統制管理サーバー 2013 を使うことで、セル レベルまで変更を監視し、トラッキングできます。
新しいツールの入手方法
現在、ここで述べた新しいアプリケーションはすべて Office カスタマープレビューでお試しいただけます。
新しいツールのうち、スプレッドシート検査、スプレッドシート比較、およびデータベース比較の 3 つは、Office ProPlus で使用できます。スプレッドシート検査は Excel アドインなので、Excel のオプションで有効にするだけで使用できます。スプレッドシート比較とデータベース比較は、他の Office ツールと一緒にショートカットとして表示されます。
監査/統制管理サーバーと検出/リスク評価は、サーバー製品として Office カスタマープレビューで提供されています。
どこから始めるか - リスクの範囲を理解する
問題を解決するための最初のステップは、その問題を理解することです。組織が EUC の在庫調査をしていなかったり、適切な手順や制御を行っていない場合は、EUC にどのくらいの問題があるのか、さらには所有している EUC の数すらだれも知らない可能性があります。Microsoft Office 検出/リスク評価を使うと、EUC の在庫の一覧を作成して分析することができ、最も複雑で影響が大きく危険な EUC がどれかを識別できます。在庫の一覧を作成することは、組織で EUC を制御する際に重要なことの 1 つです。また、新しい検出/リスク評価アプリケーションは、最もリスクのある EUC を識別するのに役立つため、組織はリスクを減らすための対策を講じることができます。このアプリケーションは、指定されたネットワークパスと SharePoint サイトをたどって EUC を見つけ、各 EUC を分析します。そして、設定可能な条件に基づき、EUC の複雑さ、重要性 (組織への影響)、リスクの評価を行います。
最後に、Excel (および Access の) 比較ツール
新しいデスクトップツールによって、効率が劇的に向上する場面はいくつかあります。特に、2 つのスプレッドシートを簡単に比較したい場合は非常に役立ちます。スプレッドシート比較は、任意の 2 つのブックを、手動で行う場合よりもはるかに速く比較できます。また、スプレッドシートの違いは分類されるため、数式や VBA の変更などの重要な変更に的を絞って注目することもできます。データの変更も検出されます。変更にはさまざまな種類がありますが、スプレッドシート比較を使うことで、それらの種類を 1 つずつ識別しやすくなるというのがポイントです。また、スプレッドシート比較は、行や列が挿入または削除された場合もそれを認識でき、影響を受けたセルを比較する前にその変更を考慮することができます。つまり、数千ものセルが 1 行ずつ移動されてその違いが表示されるのではなく、1 行挿入されたということがシンプルに報告されます。
データベース比較は、Access データベースについて同様の機能を提供します。2 つの Access データベースを比較し、テーブル、クエリ、モジュールなどの違いを報告します。だれかが重要なクエリを変更した場合、何が変わったのかを正確かつ簡単に特定できるようになります。
強力な分析機能
スプレッドシート検査では、Excel ブックについて詳細な分析を行うことができます。Workbook Analysis は、スプレッドシートの MRI のようなものだと考えています。Workbook Analysis 機能を使うと、スプレッドシートについて約 50 種類の要素が検索され、報告されます。たとえば、エラーのある数式、一貫性のない数式、見えないセルなどをすべて簡単に見つけることができ、その情報でレポートを作成できるため、スプレッドシートの記録と理解が容易になります。これは、EUC を制御するためには重要です。スプレッドシート検査のもう 1 つの目玉は、Workbook Relationship Diagram 機能です。この機能は、ブック内のデータの系統を図式化するものです。ブックまたはデータ接続をリンクしている場合、この機能により、リンクが壊れていたりデータが最新でない場合でも、すべてのデータがどこから来ているのかをすばや��確認できます。スプレッドシートを作成しているだけの場合も、最初からより良いスプレッドシートを作成するためにこのツールを使うことができます。
EUC の変更をトラッキングする
これらの新製品を支えているのは、監査/統制管理 (ACM) サーバーです。これは、Excel および Access ファイルの強力な変更管理機能を提供し、上で述べたように、Microsoft 検出/リスク評価によって補完されます。ACM サーバーは、重要な EUC を監視し、EUC に変更を行った人物とその日時を特定できます。また、どのような変更が行われたかをセルレベルまで調べることができます。数式や VBA コードが変更されたかどうかがわかり、変更後もその古い値と新しい値がわかります。ACM サーバーはファイルのバージョン履歴も保持しており、2 つのバージョンを比較したり、以前のバージョンを回復することも簡単です。EUC に重要な変更が行われたときに電子メールでアラートが送信されるなど、他にも多くの機能があります。ACM サーバーを使ってみたい方は、このページをご覧ください。
ここでご紹介した製品をリリースできる日を迎えることを、とても嬉しく思っています。EUC の世界にインパクトを与えることをチーム一同楽しみにしています。新機能についてのフィードバックをお聞かせいただけたら幸いです。下の欄でぜひご意見をお寄せください。新しい機能はあなたのニーズを満たしているでしょうか。ご意見、ご感想を遠慮なくお聞かせください。こういう機能が欲しいというコメントもお待ちしています。