こんにちは。日本マイクロソフト Outlook サポート チームです。
Exchange Sever のリモート ドメインの設定で、組織外部へのメールをテキスト形式に変換するように指定しているのにも関わらず、Outlook でメール送信した場合に HTML 形式でメールが届くというお問い合わせをいただくことがあります。今回は、この現象についての解説と対処方法をご紹介いたします。
現象
Exchange Sever のリモート ドメインで ContentType オプションを "MimeText" に設定している場合に、OWA からメールを送信するとテキスト形式で届くが、Outlook からメールを送信すると HTML 形式で受信される現象が発生します。
解説
Exchange Server で組織外部へ送信する MIME メッセージの形式を指定する場合には、リモート ドメインの ContentType オプションで設定を行います。この CntentType オプションは、既定で "MimeHtmlText" が設定されていますが、すべてのメールをテキスト形式に変換して組織外部へ送信させるために、"MimeText" に変更することがあります。
- 参考情報
Title: Set-RemoteDomain
URL: https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/aa997857(v=exchg.150).aspx
しかし、この CntentType オプションを "MimeText" に変更しても、Outlook から HTML 形式のメールを送信した場合には、テキスト形式に変換されることなく HTML 形式のままメールが送信される動作となります。この動作は、送信されるメールに PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT という MAPI プロパティの値が設定されている場合には、Exchange Sever がリモート ドメインの ContentType オプションよりもこちらの値を優先するために発生します。
この PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT は、Outlook からのメール送信時に付与され、HTML 形式のメールを送信する際には、既定で "MimeHtmlText" と同様の意味をもつ "0x160000" の値が設定されます。テキスト形式のメールの場合には、PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT は付与されません。また、OWA からメールを送信した場合には、本文の形式に関わらず PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT は付与されない動作となります。
上述のように、Outlook から送信されたメールが HTML 形式の場合は、PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT に "0x160000" (MimeHtmlText) の値が設定されます。そして、この値は ContentType オプションよりも優先されることにより、受信側では HTML 形式 (テキストと HTML のマルチ パート メッセージ) としてメールが届く動作となります。また、OWA では PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT が付与されないため、ContentType オプションの設定がそのまま反映される動作となります。
本現象は Outlook と OWA (Exchange Server) の想定された動作となります。Outlook で PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT の付与を制御するには、後述の対処方法をご確認ください。
対処方法
以下のレジストリを設定して Outlook で PR_INETMAIL_OVERRIDE_FORMAT の付与を制御することで、リモート ドメインの ContentType オプションの設定を優先させることが可能です。
キー: HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\<バージョン番号>\Outlook\Options\Mail
名前: DisableInetOverride
種類: REG_DWORD
値: 1
* バージョン番号は Outlook 2010 は 14.0、 Outlook 2013 は 15.0、Outlook 2016 は 16.0 となります。
* 設定を有効にするには Outlook の再起動が必要です。
* レジストリ キーが存在しない場合には作成します。
なお、Exchange Server 側での対処方法はないため、上記のレジストリの配布をご検討ください。
本情報の内容(添付文書、リンク先などを含む)は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。