こんにちは。日本マイクロソフト Outlook サポート チームです。
この記事では、Outlook 2010 で「予定表」と「Calendar」の二つの予定表が作成される問題についてご紹介します。
現象
Outlook 2010 で突然「予定表」と「Calendar」の二つの予定表フォルダーが存在するようになり、既定の予定表が変わってしまうことがあります。
そして新規に作成された方のフォルダーのアクセス権を持ってないユーザーが、予定表を確認できなくなってしまうという状況が発生します。
原因
以下の場合に発生することが確認されています。
a) iPhone などのモバイル デバイス から Exchange メールボックスを同期している場合
b) サードパーティ製のアプリケーションを利用して同一の Exchange メールボックスを同期している場合
c) オンライン モードからキャッシュ モードへ切り替え後、Outlook 初回起動時にローカルの OST ファイルとメールボックスのフォルダー階層の同期に時間がかかった場合
d) サーバーにある予定表フォルダーの破損等が生じ、既存の既定予定表フォルダーを認識しなくなった場合
e) サーバーと言語設定が異なり、それを Outlook と同期する時に問題が発生した場合
対処方法
以下の順に既定ではない予定表上のデータを既定の予定表に移動し、さらに既定のフォルダーの情報を修復します。
A. 予定表データの移動と重複した予定表の削除 (MFCMAPI を使用する方法)
A’. 予定表データの移動と重複した予定表の削除 (Outlook を使用する方法)
B. 既定のフォルダー名のリセット (Outlook を使用する方法)
B’. 既定のフォルダー名のリセット (OWA を使用する方法)
C. フォルダー情報のリセット
A. 予定表データの移動と重複した予定表の削除 (MFCMAPI を使用する方法)
アイテムが両方のフォルダーに作成されてしまっている場合には、MFCMAPI というツールを使用して既定のフォルダーにアイテムをまとめます。
– 手順
1. Outlook、OWA など現象の発生しているメールボックスへ接続しているアプリケーションを終了します。
2. Outlook を使用しているクライアント マシンにて以下の URL にアクセスします。
Title: MFCMAPI (February 2014 Release)
URL: http://mfcmapi.codeplex.com/releases/view/118446
3. [MFCMAPI 32 bit executable – February 2014 Release (15.0.0.1041)] のリンクをクリックして MFCMapi.exe.15.0.0.1041.zip をダウンロードし、解凍します。
4. 解凍後の MFCMAPI.EXE を起動します。
5. MFCMAPI についての説明のダイアログが表示されたら [OK] をクリックします。
6. [Tools]-[Options] をクリックし、以下のオプションを有効にします。
Use MDB_ONLINE when calling OpenMsgStore
7. [Session]-[Logon…] をクリックします。
8. Outlook プロファイルが複数作成されている場合には、対象のフォルダーが存在する Outlook プロファイルを選択します。
9. 対象のメール フォルダーのあるメール ボックスを Display Name から選択してダブルクリックをします。
10. 左側のペインの [Root Container]-[インフォメーション ストアの先頭] を展開し、既定として認識されない予定表をダブルクリックします。
11. 開かれたウィンドウの上ペインに表示されたアイテムを CTRL + A ですべて選択します。
12. [Actions]-[Copy Messages] をクリックします。
13. アイテムを選択したウィンドウを閉じ、既定として認識されている予定表をダブルクリックで開きます。
14. [Actions]-[Paste Messages] をクリックします。
15. [Move message instead of copy] のチェックボックスをオンにし、[Copy Messages] が選択されている状態で [OK] をクリックします。
16. ウィンドウを閉じます。
17. 既定として認識されない予定表を右クリックし [Delete Folder] で削除します。
18. MFCMAPI を終了します。
A’. 予定表データの移動と重複した予定表の削除 (Outlook を使用する方法)
以下は、MFCMAPI ではなく Outlook を使用してデータを移動する手順です。
※ MFCMAPI をご使用いただくことにより、元のアイテムの状態と同じ状態でアイテムを統合することができますが、このエクスポート、インポートを使用した場合には、アイテムの内部的な属性やタイトルに「コピー」が追加されるなど、元のアイテムから一部の属性が変更されてしまいます。予めご了承ください。
① 予定表データのエクスポート
※ 既定ではない方の予定表を削除するため、まずその予定表データを PST ファイルにエクスポートしてバックアップを行います。
1-1. Outlook 2010 の [ファイル]-[オプション]-[詳細設定]-[エクスポート] をクリックします。
1-2. “ファイルにエクスポート” を選択して [次へ] をクリックします。
1-3. “Outlook データ ファイル (.pst)” を選択して [次へ] をクリックします。
1-4. “エクスポートするフォルダー” から、既定ではない予定表フォルダーを選択して [次へ] をクリックします。
1-5. エクスポート ファイル名を指定して [完了] をクリックします。
② 重複した予定表の削除
2-1. Outlook 2010 の左ペインの下部にあるフォルダーアイコンをクリックしてフォルダー一覧を開きます。
2-2. 既定ではないフォルダーを右クリックし、”予定表の削除” をクリックします。
③ 予定表データのインポート
3-1. Outlook 2010 の左ペインの下部にあるフォルダー アイコンをクリックしてフォルダー一覧を開きます。
3-2. インポート先の既定の予定表フォルダーをクリックして選択しておきます。
3-3. Outlook 2010 の [ファイル] タブより、[開く]-[インポート] を選択します。
3-4. “他のプログラムまたはファイルからのインポート” を選択し、[次へ] をクリックします。
3-5. “Outlook データ ファイル (.pst)” を選択して [次へ] をクリックします。
3-6. インポートするファイルとして 1 で作成した PST ファイルを指定し、[次へ] をクリックします。
3-7. “インポートするフォルダーの選択” で、インポート対象の予定表フォルダーを選択し、”現在のフォルダーにアイテムをインポートする” を選択して [完了] ボタンをクリックします。
B. 既定のフォルダー名のリセット (Outlook を使用する方法)
Outlook 2010 を resetfoldernames コマンドライン スイッチを使用して起動し、既定のフォルダー名をリセットします。
– 手順
1. Outlook 2010 が起動している場合は終了します。
2. [スタート] ボタン 内の [プログラムとファイルの検索] から以下のコマンドを実行します。
Outlook /resetfoldernames
3. Outlook が起動したらフォルダーの状態をご確認ください。
B’. 既定のフォルダー名のリセット (OWA を使用する方法)
サーバー環境によっては resetfoldernames が使えない場合もあります。
その際は OWA から言語の設定を変えることでリセットすることができます。
現在の設定が日本語の場合には、一度別の言語に変更して保存し、その後日本語に戻します。
C. フォルダー情報のリセット
上記 B で状況に変化がない場合、Outlook 2010 を resetfolders コマンドライン スイッチを使用して起動し、フォルダーを初期化します。
– 手順
1. Outlook 2010 が起動している場合は終了します。
2. [スタート] ボタン 内の [プログラムとファイルの検索] から以下のコマンドを実行します。
Outlook /resetfolders
3. Outlook が起動したらフォルダーの状態をご確認ください。
参考資料 : Outlook 2010 のコマンド ライン スイッチ
補足 1 : 予定表が 2 つあり、既定がどちらかわからない場合
Outlook で予定表フォルダーを右クリックし、[予定表の削除] がグレーアウトされるフォルダーが既定です。
補足 2 : 「予定表」フォルダーが消えて「Calendar」フォルダーが現れる場合
「予定表」フォルダーが消えて「Calendar」フォルダーが現れることや、またはその逆が起きることがあります。
そして既定の予定表が失われて予定表が共有できなくなる事象が発生します。
その場合、まず B の既定のフォルダー名のリセットを行ったあと、A のアイテム移動を行います。
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