(この記事は 2017 年 8 月 7 日にMicrosoft Partner Network blog に掲載された記事 Transforming Processes in the World of Modern Marketing の翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)
マイクロソフトのパートナー企業 Mogrify のディレクターという立場から、この記事では重要かつ参考になるパートナーシップの成功事例をご紹介します。
オーストラリアに拠点を置く Bistech は、自社のマーケティング活動をより良い形に発展させたいと考えていました。同社は従来、単発のマーケティング キャンペーンを数多く実施するという戦術的なマーケティング アプローチに取り組んできました。こうしたキャンペーンは一定数のリード創出につながってはいたものの、同社が目指していたのは長期的に持続可能な成果です。そこで Bistech は、多くのパートナー企業の皆様がよくご存じのような、既存のマーケティング アプローチの完全な見直しに着手します。同社はこの取り組みのなかで、購買担当者によるテクノロジの調査方法や調達方法が根本的に変化していること、自社のマーケティング活動もこうした変化に合わせて再構成する必要があることを理解したのです。
購買担当者のカスタマー ジャーニーの理解
Bistech にとって大きな転機となったのは、Microsoft Australia Partner Conference 2016 で Mogrify が開催したモダン マーケティングのセッションでした。それまでもコンテンツ マーケティングや "Always-on" マーケティングは身近な存在ではあったものの、B2B のカスタマー ジャーニーと結び付けて考えるという発想はありませんでした。しかし、このセッションへの参加をきっかけに、それらの手法を新たなマーケティング プロセスに本格的に採用することを決定します。
この新たな戦術は Bistech にとって合理的なものでした。既に購買意思が固まっている顧客の割合が低ければ、市場のその他の潜在顧客に働きかける手法を考えなくてはいけません。また、購買プロセスを開始した顧客と関係を構築し、情報提供や問題の解決を通じて信頼を築くことも重要です。
「Mogrify の「Buyer RACER」モデルには大いに納得しました。当社が購買担当者に働きかけていたのはカスタマー ジャーニーの終盤であり、購買プロセスのもっと早い段階から接触しなければ効果がないことを学んだのです。また、テクノロジの購買担当者はサプライヤーに問い合わせる前にオンラインで入念な調査を行っているという事実をはっきりと認識し、その段階で当社を見つけてもらえているのか不安を覚えました。当社にとって重要なのは、ターゲットとする市場に対して継続的にメッセージを発信することだと確信しました。そのためには、対象を絞った説得力のあるコンテンツを作成し、長期的にターゲットの目に触れるようにする必要があります。それ以降は、製品別の単発キャンペーンから、カスタマー ジャーニーに沿ったマーケティング活動へと、取り組みの方針を転換することにしました」
– Bistech、エグゼクティブ ディレクター、Brad Culbert 氏
適切なパートナーの選定
Bistech が Mogrify から学んだもう 1 つの重要なメッセージが、B2B マーケティングはチーム スポーツであるということです。この概念は単純なものですが、マーケティング専任の人材を用意しなければ、実現することは容易ではありません。Bistech のチームには社外の支援が必要でした。しかも、まったく新しいアプローチによる支援です。
Bistech のエグゼクティブ ディレクターを務める Brad Culbert 氏はこう話します。「当社はマーケティング パートナーとして Mogrify を選択しました。当社のビジネス戦略と関連付けて、Mogrify が提供するサービスとしてのマーケティング ソリューションの説明を受けました。このサービスは、昨今の購買担当者によるテクノロジの新しい調査方法、調達方法に沿ったものであり、当社が必要としていた継続的なマーケティング エンジンが実現されることを学んだのです」
当社は Bistech と協力し、同社の Retail Defender プラットフォームのマーケティング強化に乗り出すことにしました。このプラットフォームは Azure Data Analytics のサービスおよび機能をベースとしたもので、小売業界における損失を防止するために、ネットワーク上のすべての店舗における不審な行動を自動的に特定します。Bistech の Retail Defender プラットフォームに関する戦術は実に賢明です。多くのパートナー企業のように「すべてのお客様」の「すべてのニーズ」に応えることを目指すのではなく、特定の業種に絞り込んだ単一の製品を提供することで、はるかに効率的かつ効果的にマーケティングを行うことができます。
マーケティング戦略
Mogrify のアプローチは、長期的な活動を視野に入れたうえで、短期的な成果を生み出すというものです。最初に Bistech の既存のマーケティング資産を確認し、ビジネス上の優先順位を把握することで、このモダン マーケティングのアプローチへの移行によって収益を向上させる方法をより明確に理解することができました。
過去何年にもわたり、同社はさまざまな製品ブランド、マイクロサイト、関連するコンテンツを構築してきていました。同社の課題は、いかに一貫したシナリオに基づいて、キャンペーン終了後に作成した資産を再利用するかということでした。
当社は Bistech の課題と目標を戦略的な観点から検討した後、モダン マーケティングへの変革に必要な基盤の確立に取り掛かりました。そして、Retail Defender 向けの最初のプログラムとして、ブランドの再構築や、新しい Web サイト、一連のアニメーション動画、ブログ記事の作成のほか、主要な業界団体との協力、ソーシャル メディアの活用、コンテンツの広告と拡充を行うことにしました。
取り組みの成果と教訓
私たち 2 社の関係が始まってまだ数か月ですが、既に Bistech の社内では、マーケティングに対する従業員の考え方に関して変化の兆しが見えてきました。言うまでもなく、初期段階におけるリード創出も進んでいます。一方で当社も、将来を見据えてデータ分析や高度な分析の分野における新たな境地を開拓しているパートナーと出会ったことを非常に喜んでいます。
Culbert 氏は言います。「すばらしいことに、これまでに獲得した潜在顧客は当社がターゲットとする市場と完全にマッチしています。まだ始まったばかりですが、当社はマーケティングに関する新たな方針に本当に満足しています。十分に時間を取って購買担当者の行動について理解したことで、より有意義な形で市場にメッセージを発信できるようになりました」
他のパートナーへのアドバイスとして、Culbert 氏は購買担当者の最新の実態を常に把握することが大切だと言います。「購買担当者は当社に問い合わせるまでに調査の大半を済ませている。その事実を認識して、マーケティング活動を刷新することができました。今では購買プロセスのずっと早い段階から購買担当者に働きかけているため、当社のソート リーダーシップを示すコンテンツを提供し、定期的に情報を発信することで、高いブランド想起率を維持しています」
新しい成果を生み出すためには、新たなことに挑戦すべきタイミングを察知できる能力が欠かせません。マーケティング活動の場合、多くのパートナー企業は昔ながらの戦略を使い続けていますが、現代のビジネス環境では通用しません。特に B2B の領域では、現在のプロセスを見直し、改善点を見極める必要があります。
マイクロソフトの見解
Microsoft Australia でアプリ/インフラストラクチャ担当シニア パートナー マーケティング アドバイザーを務める Rob Evans 氏はこう述べます。「Mogrify と Bistech のパートナーシップについては多大な関心を持って見守っており、Mogrify の協力の下で Bistech がマーケティング活動の変革に成功したことをたいへん嬉しく思っています。購買担当者によるテクノロジの購入方法は根本的に変化しているため、パートナー様による自社サービスのマーケティング活動にも、そのことを反映する必要があります」
皆様も、マーケティング活動の変革を成し遂げたことはありますか。同じような変革を目指しているパートナー企業にアドバイスをお願いします。マイクロソフト パートナー コミュニティ (英語) までご意見をお寄せください。