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Azure 上での Windows 10 の利用について

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こんにちは、Azure サポート部の石井です。

 

Windows 10 クライアント OS Azure 上にて利用可能となっています。
利用にあたっての前提条件がある点に加え、執筆時点 (2017/10/24) ではカスタム VHD の作成・アップロードがほぼ必須となるため、
本ポストにて最新の状況をおまとめしてまいります。

 

詳しい内容は以下ですが、今回のポストでは簡単な前提条件のおさらいと、Azure に Windows 10 の VHD イメージを持ち込むまでの手順をご紹介します。

 

参考資料: Windows 10 on Azure の正式解禁!

Windows 10 on Azure の正式解禁!

 

[前提条件]

1. ライセンス上の条件

Windows 10 Enterprise E3/E5 または VDA E3/E5 Per User SL をお持ちのお客様である必要があります。
Azure からの従量課金オプションは存在しませんので、ライセンスを別途ご購入いただく必要があります。

 

2. Windows のバージョンとエディションについて

Azure では、Windows 10 Creators Update (コードネーム RS2, バージョン 1703) 以降の Current Branch をサポートしています。

Windows 7/8.1 や、LTSB 版 Windows 10 の利用は不可能です。

 

[Azure 上への Windows 10 イメージの持ち込みについて]

2017/10/24 現在、Windows 10 Enterprise Edition Creators Update Azure Marketplace に存在しません。今後、開発部門から用意される予定ですが、時期は未定です。

 

しかしながら、Windows 10 の前述ライセンスをお持ちのお客様は、ご自身で Windows 10 のイメージを作成し、持ち込んでいただくことが可能です。

 

[Hyper-V 環境の準備]

イメージの作成には、オンプレミスの Hyper-V が利用できる環境が必要です。

昨今ですと、ノート PC であっても Hyper-V に対応していますので、Windows 8.1 / 10 Enterprise Edition をお持ちであれば比較的手軽に、Hyper-V 環境を構築できます。

 

オンプレミスにそういった環境が無い、というお客様は、Azure Nested Hyper-V 対応の仮想マシンでも代用が行えます。Azure 上での Nested Hyper-V の環境の構築については、以下ポストをご参照ください。

 

ご参考: Nested Hyper-V を使った VM の復旧

https://blogs.technet.microsoft.com/jpaztech/2017/10/13/recover_vm_using_nested_hyperv/

 

[Windows 10 のイメージ作成]

オンプレミス上の Hyper-V 環境にて、Windows 10 Creators Update あるいは Fall Creators Update をセットアップして下さい。

ライセンスをお持ちのお客様は、ボリューム ライセンス サービス センター (VLSC) ウェブサイトから Windows 10 のインストール メディアのイメージ (ISO) をダウンロードしていただけます。

 

Hyper-V での Windows 10 の仮想マシンのセットアップ方法は、週間アスキー様からの引用となりますが非常に丁寧にて紹介されています。

 

[週間アスキー様] Windows 10の仮想化Hyper-VWindows 10をインストールする方法http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/398/398455/

Azure 上に持ち込む場合の形式やサイズなどの条件があり、以下技術情報にまとまっています。

 

Azure にアップロードする Windows VHD または VHDX を準備する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/prepare-for-upload-vhd-image

上記が複雑だと感じられる場合、以下の "[準備と確認事項]" の項をご参照下さい。

 

オンプレミス環境の VM IaaS v2 (ARM) モデルで Azure に移行する方法
https://blogs.technet.microsoft.com/jpaztech/2016/05/17/upload_customvhd_to_azure/

※ OS 構築後、続く一般化の手順までにカスタマイズを行うことも可能です。ただし、カスタマイズには動作検証や事前確認を含め、非常に多くの工数がかかるものになります。本ポストのサイトに、「イメージをカスタマイズする場合の注意点」を補足しますので、カスタマイズ予定のお客様は目を通していただくことをおすすめします。

 

続いて、当該仮想マシンを一般化し、 VHD を Azure のストレージ アカウントにアップロードします。

Windows Server VHD の作成と Azure へのアップロード
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/windows/classic/createupload-vhd
→ 手順 3 まで実行します。

以下手順を参考に、イメージの登録から VMの展開まで行っていただけます。

 

管理ディスク (Managed Disks) の “イメージ” リソースを使用し、仮想マシンを複数台展開する
https://blogs.technet.microsoft.com/jpaztech/2017/05/10/deployvmsfrommanagedimage/

 

これにて展開までのステップが完了です。

Windows 10 に限らず、Windows Server も同様の手順で利用が行えますので、お役立てください。

 


補足情報 - イメージのカスタマイズをする場合の注意点

Windows 10 のセットアップをしてから一般化をするまでに、Windows 10 OS に様々な共通設定をしておくことが可能です。メーカー製の PC を購入されたことのある方は多いかと思いますが、メーカー製 PC にプリインストールされているソフトが様々であったり、壁紙が機種固有のものにプリセットされていたり、といったことは、このフェーズで実現しています。

 

カスタマイズというと夢は広がりますが、設定ミスがある場合、あるいは、検証が行いきれないほどの過剰な設定をするとトラブルの元ですのでご注意ください。リスクを端的にいうと、このイメージのカスタマイズの段階で問題の発端となる設定をしてしまい、その後、それをもとに OS を展開した結果問題が表面化すると、問題によってはイメージを修復して再度 OS を作り直さなければ復旧できないといったものがある、ということです。
工業製品でいう、金型の部分の設計ミスがあるような感覚で、既にリリースしてしまった製品の回収をするだけでなく、金型を作り直して製品を作り直し、配布しなければならないのです。

 

以下が既知の注意事項です。

 

・グループ ポリシーやレジストリなどで UAC を無効にしないこと

・複数のユーザー プロファイルが存在した状態で Sysprep を実施しないこと (Sysprep の実行ユーザー以外のユーザー プロファイルを事前に削除してください)

・既知の事象がありますので、以下技術情報をご参照ください。

Windows 8 / Windows 8.1 / Windows 10 環境において、展開後の一部フォルダーに Low Mandatory Level アクセス権が付与されない
https://blogs.technet.microsoft.com/askcorejp/2016/01/24/windows-8-windows-8-1-low-mandatory-level-1/
・マスター イメージ作成の段階で、インターネット接続する前に、以下のポリシーを有効にすることを推奨いたします。
(インターネット経由でストア アプリの更新が自動インストールされることで Sysprep が失敗する事象を回避するため)

[コンピューターの構成]
- [管理用テンプレート]
- [Windows コンポーネント]
- [ストア]
・更新プログラムの自動ダウンロードおよび自動インストールをオフにする

※Sysprep 実行直前、インターネット接続から外した後に、本ポリシーを解除していただければ問題ございません。

 

・マスター イメージ作成の段階で、可能な限りドメインに参加しないこと。
イメージ作成の段階でドメイン参加が必須の場合、参加 OU を分けるなど、なるべく不要なグループ ポリシーの適用を避けてください。

 

・Windows 10 Version 1511 よりアップグレードされた環境でも Sysprep 実施可能となりましたが、アップグレードされた環境はクリーン インストールの環境と異なり、Sysprep が失敗するリスクや Sysprep 後に不具合が生じるリスクも高くなります。
可能な限りクリーン インストールの環境からマスター イメージを作成し Sysprep を実施してください。

 

・ Windows の追加機能やサードパーティ製品を含め、一般化までにセットアップする必要のある製品については、一般化がサポートされているかや、手順についてメーカーの情報を参照し、慎重に行って下さい。すべての製品が一般化から特殊化までをサポートするわけではありません。非対応な製品にて、このようなことを行うと、展開した VM すべてにおいて不具合が出るといったことが想定されます。

 

・運用用途で使ったことのあるイメージの Sysprep は行わないで下さい。Sysprep はイメージを大量展開するためのひな形となり、一般化過程で初期化される項目が多くあります。カスタマイズ時の設定ひとつについても、展開後の十分な検証が必要となります。様々な変更が既に存在しており、管理者がそれを追跡できていない運用環境での一般化は不可能です。

 

注意事項としては以上となります。

 

 

Windows の技術サポート部隊において、「うっかりカスタマイズ時に設定ミスが発生してしまい、展開したシステム数十台で問題が出た。」というお問い合わせは多く報告されています。また、改善策が単純なものであればよいのですが、時にイメージを作り直して、再度システムを展開しなおすことだったといった事も少なからず存在します。これが物理的な PC でしたら、全台の改修騒ぎになりとてつもなくコストがかかることとなります。仮想環境であっても、既に多くのユーザーが使い始めている VM を削除し、再展開するとなると簡単なことではありません。

Azure では、VM のイメージ側のカスタマイズは最小限にし、展開後に VM にカスタマイズした設定を行ったり、アプリケーションを追加する、といった方針がおすすめです。


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