(この記事は2018年7月11日にMicrosoft Partner Network blogに掲載された記事three-keys-creating-powerful-effective-customer-experienceの翻訳です。最新情報についてはリンク元のページをご参照ください。)
今日の市場で競争力を維持しようと急ぐあまり、多くの企業がバズ マーケティングやブランディング、イノベーションにばかり気を取られています。どれも非常に重要ではありますが、他にも必要ながら見落とされがちな要素があります。それはカスタマー エクスペリエンス (CX) です。製品やサービスの使い勝手や、自社との取引について顧客に満足してもらえなければ、どれだけ派手な宣伝を打とうと意味はありません。
魅力的な CX を構築するためのヒントを探るべく、私はマイクロソフト パートナーの Tim Wallis 氏 (英語) にお話を伺いました。Wallis 氏は Content and Code (英語) のオーナー兼 CEO であり、同社はパートナー オブ ザ イヤー アワードのカスタマー エクスペリエンス部門の受賞企業です。CX に対する Wallis 氏の深い洞察は、同社の企業ミッションである、チームの全員が協力して質の高い CX を実現するという全社共通の理念に根ざしています。
出発点は適切な理念から
Content and Code の CX 対応は、取引相手を「顧客 (カスタマー)」ではなく「クライアント」と呼ぶところから始まります。Wallis 氏のチームでは、専門家ならではのアドバイスを提供し、顧客のニーズに応じた最適なソリューションや製品のみを提供することをモットーとしています。しかし、「顧客」という呼び方は長期的な「関係」ではなく、その場限りの「取引」を連想させます。この理念は新入社員研修の段階から徹底されており、新しくチームに加わったメンバーには、Wallis 氏が直接このメッセージを伝えています。
こうした基本的な取り組みに加え、Content and Code ではクライアント エクスペリエンスを測定し、ネット プロモーター スコアを記録しています。これらは将来の収益成長率を予測するための優れた指標であり、同社の 4 つの主要 KPI に数えられるだけでなく、ボーナスの支給額の基準としても使用されています。
同社の企業理念はクライアントの信頼獲得に大いに役立っており、同社が提供するサービスのあらゆる面に反映されています。
最近の事例では、EU 一般データ保護規則 (GDPR) について懸念するクライアントへの対応に、同社の姿勢が見て取れます。同社は自分たちの強みに徹し、最も得意とするセキュリティと IT インフラストラクチャのニーズの面でクライアントを支援しました。その一方で、GDPR に関して IBITGQ (英語) の認定を取得した企業と提携することで、法律面でもクライアントをバックアップしています。
CX を強化する画期的な手法
Wallis 氏は、CX を洗練させるための具体的なアプローチを教えてくれました。
まず、Yammer を使用してクライアントからのフィードバックをすばやく共有します。これにより、業務の成果に関する最新の情報をチーム内で常に共有し、ディスカッションを促進することができます。活発な意見交換の手段としても、優れたクライアント満足度を達成したメンバーをチーム内で称賛する手段としても活用されています。
また、スタッフに不満があれば、クライアントのニーズに十分には応えられないことから、従業員の満足度も追跡しています。マネージャー全員が OfficeVibe (英語) にアクセスし、従業員のエンゲージメントを確認することができます。さらに、チームの現状をより詳しく調査するために、Best Companies (英語) を活用しています。
最新のセキュリティや法規制に関する問題に精通
企業はクライアントに安心感を与える必要があります。サイバー犯罪、厳格な規制への対応、違反した場合の罰金といった不安を解消しなければ、ビジネスのリスクは高まるばかりです。
たとえば、今大きな注目を集めているトピックとして、GDPR (英語) とサイバーセキュリティの問題があります。そのため、企業はクライアントのデータの取り扱いに細心の注意を払うことが必要です。Wallis 氏のチームでは、クライアントのデータを定期的にチェックして、データ クレンジングを行っています。また、安全性とプライバシーを維持した状態でデータを保管し、クライアントのニーズを満たすうえで必要なデータのみを残すようにしています。
市場の変化に対応した CX の構築
市場の変化に備え、潜在的なクライアントとの関わり方を考えておくことも重要です。
たとえば、Wallis 氏の見立てによれば、B2B 市場における企業のやり取りの仕方が変わり、コミュニケーションの分散化が進んでいます。したがって、バイヤージャーニーの途中で各クライアントに確実に接触できるよう、デジタルとオフラインのさまざまなチャネルを通じて、タッチポイントの数を増やすことが欠かせません。
時代が移り変わる中で、同社はインバウンド コンテンツ マーケティングにおける「クライアント ファースト」の手法を積極的に導入することで、市場での生き残りのみならず、成長を実現しています。この手法の導入にあたり、同社は SEO (検索エンジン最適化) やペイ パー クリック広告、ソーシャル メディアを活用しています。
自社のクライアント層に応じた適切な理念を採用し、クライアントの声に注意深く耳を傾けつつ、社内でもチーム メンバーの満足度を維持することで、優れた CX を構築するための基盤を固めることができます。そして、ブランド ロイヤルティの向上だけでなく、ブランド アドボケイト (支持者) の創出を実現できます。