最近、昔 iPad の導入をしたお客様とお話ししていると、iPad を導入してみたもののカタログ閲覧などの特定業務以外にはなかなか用途が広がらない、使い道がない、という話をよく聞きます。たとえば営業が生産性良くタブレットを利用するには、やはり Officeがきちんと使えないといけない、ということだったり、社内のホワイトカラーが会議などで利用する際にも、結局ノートPCと2台持ちになってしまうのだということのようです。タブレットが持つ、タッチ機能や軽さ、バッテリーの持ち時間などの新しい魅力と、業務の生産性を両立するためには、今の iPad にはない要素が必要なようです。
マイクロソフトがそれに対して提案をするのは、Windows 8 タブレット (Surface)+ 最新の Office (クラウドまで含んだ Office 365) です。iPad くらいの費用感で導入を検討しているお客様には、Surface RT (Windows RT 8.1 版) + Office 365 をお勧めしています。今回の記事では、Surface RT と Office 365 でどのようなタブレットの利用が実現できるのかについて解説したいと思います。
iPad にはない Surface RT の特長
さて、iPad と Surface RT は、同じタブレット端末という部類に属しますが、Surface RT には iPad と決定的に違う点があります。それは、Surface RT は「PC のように使えるタブレット」である点です。iPad はあくまでもタブレット端末としての使い方に最適化されていますが、Surface RT はタブレットとしても使える一方、PC として利用することもできるのです。PC として利用できる、とは、PC のようにキーボードやマウスが使え、プリンターなどの周辺機器に直接つなぐことができ、さらには PC で仕事をする場合には必ずと言っていいほど利用する Microsoft Office を利用できるということです。
Surface の新しい CM も日本で始まりました。以下の動画を見ていただくと、Surface がどのような特長を持った製品であるかを理解していただくことができると思います。(この動画は英語です)
(Please visit the site to view this video)
Microsoft Office やキーボード/マウス、VPN も "満足" レベルで快適に使える
日本マイクロソフトでも、Surface RT が社員一人一人に配布され、日常の仕事の中で使われています。そして、私もそのうちの一人です。最近は、Surface RT 一台を鞄に入れて毎日通勤しています。Surface RT の批評記事によっては、「Surface RT は会社で使うのには向かない」と書いてあるものもありますが、私も実際に仕事で使いだしてみて持った感想は、「意外と仕事でも使える」ということでした。現在、私の環境では、Surface RT に以下のオプションをつけて使っています。これだけあれば、"満足" レベルで快適に仕事をすることができます。
- タイプ カバー: 感圧式ではなく、打鍵感のある Surface 専用の薄型キーボード アクセサリです。磁石で Surface に着装することができます。色のバリエーションはありませんが、ブラインドタッチで快適に作業をするならこれが必要です。定価 10,980 円。
- Bruetooth ワイヤレスマウス: デスクトップモードで操作をする場合、特に文章や図表の編集作業をする場合は、やはりマウスが便利ですので、Bruetooth からつなぐことができるブルーレイのものを持ち歩いています。
- Windows RT 8.1 Preview: 現在、Windows RT に様々な新機能が追加されたプレビュー版が無料公開されており、Windows ストアから簡単にアップグレードすることができます。プレビュー版ではあるものの、入れてからトラぶったことは一度もありません。RT 8.1 を入れることで、Outlook 2013 RT を手に入れることができます。Outlook がローカル環境で使えると仕事の効率が格段に違います。Word 2013 RT、Excel 2013 RT、PowerPoint 2013 RT、OneNote 2013 RT のデスクトップアプリケーションは、RT 8.1 でなくても標準で利用することができます。
- VPN アプリとリモートデスクトップアプリ: ローカルでは従来の Windows デスクトップ アプリケーションやアドインが動作しないため、それらを動作させたいときは、自分のデスクトップPCもしくは部門の共有サーバーにリモートデスクトップでログインする形を取ると良いでしょう。Windows RT マシンから VPN を張ったり、仮想スマートカードを使ったりする仕組みがあるので、追加で機材を持ち歩かなくても社内 LAN に安全にアクセスさせる仕組みを構築することができます。リモートデスクトップはデスクトップアプリが標準で Windows RT に組み込まれています。Windows ストアからも無料で追加することができます。VPN を張ることで、社内のイントラネットやファイルサーバーにアクセスすることも可能になります。
- Lync アプリ: Windows RT にはデスクトップ版 Lync はインストールできないので、Windows 8 ストアアプリとして導入します。 無料です。
- ポケット WiFi ルーター: これはオプショナルですが、街中でも無線で常につながる環境があると便利です。もちろん会社では社内の無線 LAN につないだり、街中でも公衆無線 LAN が利用できれば問題ありません。
- VGA アダプター: プレゼンや、会議内での資料共有でディスプレイにつなぐときには必須なので購入しました。別売りで定価 3,980 円。
もちろん、Surface Pro にすれば、ローカルで従来のアプリも動くので、PCとしてはさらに快適になりますが、RT の魅力は、約 675g (iPad 10 インチとほぼ同じ!) というその軽さや 8時間は稼働するバッテリーの持ちの良さなどのモバイル性と、39,800 円 (一時的なキャンペーンではなく、定価になりました!) というコストパフォーマンスです。鞄に持ち歩いて使うのであれば、RT の方がよいかもしれません。
ちなみに Tips ですが、Surface のキーボードには Print Screen がないのですが、スクリーンショットは、本体の Windows ボタン + ボリュームの [-] ボタンの同時押しで撮ることができます。撮る瞬間に画面が少し暗くなります。
Office 365 との組み合わせでさらに便利に利用できる
私は、会社でメールやファイル共有ポータルに Office 365 (Exchange Online、SharePoint Online、Yammer) を使っています。Surface RT と組み合わせて使うことで、クラウドサービスの真価がさらに発揮されます。メールや予定表については、Outlook 2013 RT を利用することで、通常のPCと何ら変わらない環境で、どこからでもメールや予定表を使うことが可能です。Windows RT の場合は、Office 365 ProPlus をインストールできないので、プリインストールされているもの以外の Office デスクトップアプリケーション (Access, InfoPath, Project, Visio など) は使えませんので注意が必要です。
また、Windows ストアアプリには、Office 365 と連携するものがたくさん出てきています。以下のアプリを入れておくことで、Surface RT と Office 365 との連携を Windows ストアアプリ経由でさらに高めることができます。
必要な情報はすべてクラウドサービスに格納しておいて、必要な時だけブラウザー、Office、および Windows ストアアプリを使って Surface RT から読み書きするようにすれば、快適に仕事をすることが可能です。
その他の iPad と Surface RT の比較
一方、iPad で同様のことを行おうとすると、必ずしもうまくいきません。サードパーティから市販されているキーボードを装着して喫茶店で仕事をしている人を時々見かけますが、入力がしづらいためかなり効率が悪そうです。私も個人的に iPad を少し使っていますが、Webページやドキュメントを閲覧するのはタッチでやりやすいのですが、文章や図表の作成、編集となると、途端につらくなります。マウスや周辺機器をつなぐようなこともできません。そして、もちろん正規品の Microsoft Office を利用することもできません。
Surface RT と iPad でモバイルや仕事効率に直結する項目を中心にいくつか比較項目をあげます。
比較項目 | iPad Retina Display Model | Surface RT |
画面サイズ | 9.7 インチ | 10.6 インチ |
本体サイズ (幅 x 高さ x 厚さ) | 241.2 x 185.7 x 9.4 mm | 275 x 172 x 9 mm |
重量 | 652g | 約 680g |
画面のアスペクト比 | 4:3 | 16:9 |
ディスプレイ解像度 | 2048 x 1536 | 1366 x 768 |
ワイヤレス機能 | Wi-Fi (802.11a/b/g/n) 準拠 Bluetooth 4.0 | Wi-Fi (802.11a/b/g/n) 準拠 Bluetooth 4.0 |
USB | なし | フルサイズ USB 2.0 |
その他のインターフェイス | Lightning, ヘッドフォン出力 | Micro HDMI、microSDXC メモリ カード スロット、ヘッドフォン出力、カバー端子、電源 |
キーボード | なし (3rd party 品あり) | 純正タッチカバー or タイプカバー (別売) |
マウスの利用 | 不可 | USB/Bluetooth マウス接続可能 |
センサー | 光センサー/加速度計/ジャイロスコープ/デジタルコンパス | 光センサー/加速度計/ジャイロスコープ/デジタルコンパス |
メインメモリ容量 | 1GB | 2GB |
ストレージ容量 | 16GB/32GB/64GB/128GB | 32GB/64GB |
バッテリー容量と駆動時間 | 42.5 W 電源/最大 8~9 時間 | 24 W 電源/最大 8 時間 |
Microsoft Office の利用 | 不可 | Office 2013 RT |
ブラウザーにおける Flash コンテンツの閲覧 | 不可 | 可能 |
VPN 接続ソリューション | 作成可能 | 作成可能 |
Windows PCへのリモートデスクトップ接続 | 可能 | 可能 |
価格 (32GB モデル) | 59,800 円 | 39,800 円 |
2013 年 7 月現在
今後にもご期待ください
Surface RT は現在のところ大手量販店を中心とした一般消費者向けの販売チャネルのみで販売されていますが、もう間もなく企業向け販売チャネルでも販売が開始される予定です。今後は企業のお客様にも、デバイスとサービスのセットをオールインワンでご体験、購入いただけるような仕組みも整っていきます。
また、Surface RT は価格が恒常的に 39,800 円となり、価格的にさらに魅力があがったこと、今後予定されている無料アップデートである Windows RT 8.1 で Outlook をはじめとする各種機能が強化されること、など、今後もさまざまな話題が提供されていきます。Office 365 を利用するための端末としての魅力もどんどん上がっていきます。今後にご期待ください!
関連項目